第5章 その(21)
2010年9月30日http://usedcarnavi.com/
第5章 その(21)
創作小説ランキングサイトに登録しました。よろしければ下記リンクをクリックお願いします。 id=3967 ?????????????????????????? 第5章 その(21)男は、「うぅ」 と、呻くように声を出すと、ボールペンを掴み引き抜いた。男の首から、血が吹き出し辺りに飛び散った。男の意識が薄れていくのがわかる。 俺は、男の身体から出ようと思うが、思うように出られない。呼吸する度に気管からごぼごぼと音がする。 思い出した。こんな夢を何度も見たのだ。尖った桜の芽が弾丸のように喉に突き刺さる夢だ。男の苦しさが、自分の苦しみとして伝わってくる。喉が詰まり呼吸が出来ないようだ。手足を何度かばたつかせるのを感じた後は、急激に意識が遠のいていった。 気がつくと俺は男の横に立ち、部屋の隅ではあの不気味な男が薄ら笑いを浮かべてこちらを見ている。美緒は血しぶきを浴び、顔から胸にかけてべっとりと血が付いている。眼を見開いたまま大きく胸を上下させ、動かなくなった男を見つめている。男が動かないことを確かめるように、男の腹の下になった足を小さく動かした。足を引き抜こうとするが、床に流れ出た血糊で滑って思うように動けない。 ようやく抜け出すと、衣服とバッグを身体に引き寄せ、震える手で携帯を取り出して電話をした。 救急隊員が、首から多量の出血をして床に倒れている男と、呆然と座り込んでいる美緒を見つけ、男には救命処置が施されたが、すでに手遅れだった。 美緒は、幾つか質問された後で担架に乗せられ病院に搬送された。 俺は美緒の身体に入らずこの部屋に残った。この家にいることだけでも気持ち悪いが、どうしてもあの男に訊きたいことがある。俺もあの気味悪い男やリビングで見た女と同類ではあるが、こんな事をする理由がわからない。 男は、俺の事はわかっているとでも言うように、相変わらず薄ら笑いを浮かべて座っている。<なぜあんな事をするんだ!><気に入った女を犯してどこが悪い、邪魔しやがって> 男は俺を睨むようにしていった。<お前のせいで、死んだしまっただろう><いい子ぶるんじゃねぇよ、何したって平気なんだよ、身体がねぇんだからよぉ> 男は苛立っている。<平気じゃないぞ、あんたは自分のオーラが見えないのか><オーラ? なんだよそいつは?> どうやらオーラが見えないようだ。誰でも見えていると思っていたが、そうではないらしい。
第5章 その(21)
創作小説ランキングサイトに登録しました。よろしければ下記リンクをクリックお願いします。 id=3967 ?????????????????????????? 第5章 その(21)男は、「うぅ」 と、呻くように声を出すと、ボールペンを掴み引き抜いた。男の首から、血が吹き出し辺りに飛び散った。男の意識が薄れていくのがわかる。 俺は、男の身体から出ようと思うが、思うように出られない。呼吸する度に気管からごぼごぼと音がする。 思い出した。こんな夢を何度も見たのだ。尖った桜の芽が弾丸のように喉に突き刺さる夢だ。男の苦しさが、自分の苦しみとして伝わってくる。喉が詰まり呼吸が出来ないようだ。手足を何度かばたつかせるのを感じた後は、急激に意識が遠のいていった。 気がつくと俺は男の横に立ち、部屋の隅ではあの不気味な男が薄ら笑いを浮かべてこちらを見ている。美緒は血しぶきを浴び、顔から胸にかけてべっとりと血が付いている。眼を見開いたまま大きく胸を上下させ、動かなくなった男を見つめている。男が動かないことを確かめるように、男の腹の下になった足を小さく動かした。足を引き抜こうとするが、床に流れ出た血糊で滑って思うように動けない。 ようやく抜け出すと、衣服とバッグを身体に引き寄せ、震える手で携帯を取り出して電話をした。 救急隊員が、首から多量の出血をして床に倒れている男と、呆然と座り込んでいる美緒を見つけ、男には救命処置が施されたが、すでに手遅れだった。 美緒は、幾つか質問された後で担架に乗せられ病院に搬送された。 俺は美緒の身体に入らずこの部屋に残った。この家にいることだけでも気持ち悪いが、どうしてもあの男に訊きたいことがある。俺もあの気味悪い男やリビングで見た女と同類ではあるが、こんな事をする理由がわからない。 男は、俺の事はわかっているとでも言うように、相変わらず薄ら笑いを浮かべて座っている。<なぜあんな事をするんだ!><気に入った女を犯してどこが悪い、邪魔しやがって> 男は俺を睨むようにしていった。<お前のせいで、死んだしまっただろう><いい子ぶるんじゃねぇよ、何したって平気なんだよ、身体がねぇんだからよぉ> 男は苛立っている。<平気じゃないぞ、あんたは自分のオーラが見えないのか><オーラ? なんだよそいつは?> どうやらオーラが見えないようだ。誰でも見えていると思っていたが、そうではないらしい。
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